脳循環研究進歩のためには人の成績のみではなく, 動物実験が必要である. しかし, 動物の脳は人に比して小さく, かつ, 血管構造上にも難点があるため, 脳循環の動物実験は困難視されていた. 容易に入手し得る犬を用い, 人の成績と比較するために, N2O法による脳循環測定の可能性を調べた. このさい, 基本的な問題から追求し, かつ動物実験では避けえない条件を厳重に検討した. 犬では人と異なり, 完全な脳混合静脈血をうることは不可能であるが, 静脈系の検索により, 開頭せず, ほゞ混合脳静脈血とみなしうる血液がえられるようになつた. この血液を用い, 脳循環諸量を測定したところ, 麻酔深度によりいちじるしく変化すること, あるいは, 同一条件下で前後2回の測定で値に変りないことなどが判明した. とくに, 深麻酔時の成績など, 人体で施行不能な実験も動物を用いることでできるようになつた点, 意義あることと考える.