日本内科学会雑誌
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溶血赤血球中の凝固因子に関する研究
第2編 臨床的並びに実験的研究
小林 和雄
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1959 年 48 巻 4 号 p. 521-528

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抄録

血液凝固の分野における赤血球の研究は比較的新しいものである.
著者はさきに発表した第1編基礎的研究 (日血会誌投稿中) に次いで, この因子の臨床的及び実驗的研究を行なつたので報告する. 即ち基礎的研究により, 溶血赤血球は血小板第3因子と類似の作用を有することを認めたが, これに基づいてトロンボプラスチン形成試驗を利用して凝固因子と密接な関係を有する血液疾患及び肝疾患, 更に実驗的肝障害家兎についてこの因子の消長を檢討し, 貧血及び肝障害を有する疾患においては溶血赤血球の血小板第3因子作用は一般に低下し, かつ囘復し得る貧血, 肝疾患では低下したこの作用は病状の軽快に伴ない正常化する傾向を認め, 実驗的研究でも一致する結果を得た.

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