日本内科学会雑誌
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悪性腫瘍の化学療法に関する研究
(第2報) 32P標識化合物 (RC4-32P) の臓器内各燐分画への攝取, 並びにこれに及ぼすhyaluronidase及び二, 三ホルモン剤の影響
指田 和明
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1959 年 48 巻 6 号 p. 887-896

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抄録

悪性腫瘍に化学療法を行なう際, 制癌剤とcortisoneその他の薬物との併用の効果を主として核酸代謝の面から追求しようとして, 32P燐酸塩又はRC4-32P (p-phenylene diphosphoric acid tetraethyleneimide) を吉田肉腫移植ラットに投与し, これにHyaluronidase, Cortisone, Testosterone, Growth hormone等を併用して腹水細胞, 腫瘍, 肝臓の各燐分画をSchmidt-Th-annhauser法清水変法又は柴谷等の法によつて分離し, それぞれの燐量, 32P活性を測定し, これより単位燐量当りに摂取された32Pの1分間カウント数を以て32P摂取率として検討した. 他に家兎にRC4-32P単独又はTriamcinoloneと併用投与し, 同様の操作を行なつた. RC4-32P投与の場合, cortisone, testosterone, growth hormoneは腫瘍核酸分画への32P摂取を促進する傾向があり, 肝の核酸分画の32P摂取は上記薬剤の併用によつて減少の傾向を示し, 又ラット肝, 家兎肝, 骨髄のRNAの32P摂取は増加し, DNAの32P摂取は減少の傾向を示す, 等の結果を得た.

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