日本内科学会雑誌
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バリストカルヂオグラムの臨床の研究
第1報正常者ならびに高血圧者におけるバリストカルヂオグラム
佐藤 辰男
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1959 年 48 巻 8 号 p. 1225-1238

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抄録

本邦における心弾動図法の研究は,これまで主に簡易型ないしHigh-frequency table型装置によつて行なわれ,これらよりも,さらに正確と云われるLow-frequency table型装置による研究はほとんど行なわれていない.そこで著者はLow-frequency table型装置を用いて,まず健康男女118例の心弾動図波形を解析し,本装置による本邦健康者の性別および年令別の正常値を求めた.次に高血圧者110例の心弾動図波形を解析し,あわせて高血圧の心弾動図に特徴とされるK波の増深について検素を行なつた.その結果,高血圧者に見られる波形異常は,年令および高血圧持続期間と,さらにまた心電図,胸部X線像および眼底の異常所見等のごとき動脈硬化の所見と密接な関係にあり,血圧の高さとは無関係で,高血圧者でも若年性の場合には正常波形を示す例の多いことが認められた.以上から心弾動図法は,高血圧に続発的に生じた病変の程度の判定に対して,有力な指標にあるものと考えられる.

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