日本内科学会雑誌
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化学療法下における喀痰中結核菌染色性の研究
前山 昇
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1959 年 48 巻 8 号 p. 1239-1246

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抄録

肺結核患者にINH単独ならびに旧ツベルクリン液注射を併用したINH療法を行ない,その喀疲を室橋により考案されたマラカイト緑,フクシン染色により染色し,喀痰中結核菌の染色状況と結核病型,病状ならびに化学療法中の病状の推移を対比追求し,化学療法効果判定の一助とせんとした.橋室は本染色により緑染する菌の一部は生菌,赤染する菌は死滅した菌であろうと報告しているが,私は本染色法によりINH単独ならびに併用療法中の喀痰中緑染菌を観察し,生菌と思われる結核菌の治療による推移を検討し,次の結果をえた.1)治療前の緑染菌は陳旧病型および陳旧空洞型に高率であつた. 2) INH投与により緑染菌は減少した.3) INH耐性例ではカタラーゼ陽性例に緑染菌が高率に見出された.4)切除肺病巣では空洞壁の方が空洞内容に比し緑染菌は高率であつた.5)旧ツベルクリン液注射を併用したINH療法により,クール初期には菌数は増加し,緑染菌の比率は減少したが,後期には菌数は減少し,緑染菌の比率は増減相半ばする結果をえた.

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