日本内科学会雑誌
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Insulin 分泌の神経性調節に関する研究
第2報Insulin分泌亢進に及ぼす迷走神経切断の影響
井出 健彦
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1959 年 48 巻 9 号 p. 1480-1487

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抄録

迷走神経のInsulin分泌調節の生理的意義を検討する目的で,先に当教室で確認したブドウ糖,綜合アミノ酸製剤及び生長ホルモン投与後に招来されるInsulin分泌亢進に対し,該神経切断が如何なる影響を及ぼすかについて検討した.即ち下垂体副腎髄質剔出ラット法によりイヌの上膵十二指腸静脈血漿Insulin濃度の変動を観察し次の成績を得た. 1)ブドウ糖,綜合アミノ酸製剤及び生長ホルモン投与後に招来されるInsulin分泌亢進は,横隔膜直上で右迷走神経を切断する事により常に消失した. 2)左迷走神経切断犬は,ブドウ糖投与後,正常犬と同様のInsulin分泌亢進を示した.以上の成績より,右迷走神経は,これらのInsulin分泌亢進の招来に際し不可欠であり, Insulin分泌調節機構に於ける重要な意義-恐らく該分泌に対し促進的な作用-を有するものと推論される.

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