日本内科学会雑誌
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家族的に多発した若年性重症肝硬変症
中野 知弘浅野 稔佐野 博昭前沢 貢
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1961 年 49 巻 12 号 p. 1548-1553

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抄録

いわゆる家族性肝硬変症は極めて稀な疾患である。著者等は, 12才から14才の同胞3人を最近10年間に,同様症状の不明肝疾患で死亡せしめた17才男子の肝硬変症を観察した.初発症伏は全身倦怠,感冒様症伏で,次いで黄疸,微熱,腹痛,食欲不振等が出現した。入院時,尿ウロビリノーゲン強陽性,血球減少, A/G比の低下, BSP強陽性等が著明であつたが,クンケル,チモール混濁試驗等の膠質反應は比較的軽度陽性であつた.又,血清アルギナーゼ高活性値及びコリンエステラーゼ活性値の低下が著しかつた.家族歴及び臨床的に肝硬変と診断したが,病理学的には,胆汁性肝硬変であり,その中でもCholangitic typeに屬するものと思われた.本症の成因は不明であるが,先天性肝薄弱状態があり, toxicな原因が働いて,特に細胆管に反應が著しく,種々の型の肝硬変の出現を見るのではなかろうか.

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