日本内科学会雑誌
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副腎皮質Steroidの血清蛋白に及ぼす影響
中川 明長沼 和男佐藤 康行高橋 昌子
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1960 年 49 巻 4 号 p. 374-383

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抄録

副腎皮質Steroidの蛋白代謝に及ぼす影響を知る目的で,同剤の投與を行なつた膠原病12例,腎疾患18例,白血病・惡性リンパ節腫7例,正常人1例,及びCushing氏症候群3例, Addison現病4例,計算45例に経過を追つて血清蛋白檢査を行なつた.副腎皮質STeroid剤を投與した正常人及びCushing氏症候群例では, 血清総蛋白量の軽度の低下, α-glob及びLipo蛋白指数の増加が見られ,組織可動蛋白及び脂肪の血中動員効果の現われと考えられた.又γ-globの低下は副腎皮質Steroidの細網内皮系抑制によるものと推定された.膠原病及び白血病・惡性リンパ節腫の初期では,副腎皮質Steroid療法により臨床症状の著明な改善につづいて血清Albの増加, α-γ-glob, Lipo蛋白指数の減少が見られた.腎疾患では,総蛋白量, Albの増加, α-β-glob (糖蛋白分劃でも同), Lipo蛋白指数の減少が見られた.即ちそれぞれ疾患固有の代謝異常が副腎皮質Steroidの抗原抗体反應抑制,消炎効果等により打消された総和の現われと考えられた.

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