日本内科学会雑誌
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正常びに病的白血球の細胞蛋白について
乾 成美後藤 俊
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1960 年 49 巻 4 号 p. 384-389

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抄録

われわれは正常並びに病的白血球の細胞蛋白代謝を究明するために,濾紙電気泳動法による分析を行ない,正常並びに病的白血球の可溶性蛋白の比較を行なつた.材料は健康者10例,急性骨髓性白血病5例,慢性骨髓性白血病4例,慢性リンパ性白血病2例で,末梢血より分離した白血球から磨碎,抽出した細胞蛋白を,組織蛋白と同様の方法で濾紙電気泳動法により分析した.正常人白血球の細胞蛋白は一般にI分画が低く, II分画以下が漸増を示したが,急性骨髓性白血病ではI, II及びIV分画の僅かな減少とV分画の増加,慢性骨髓性白血病ではII, III分画の減少とV分画の増加を示し,また慢性リンパ性白血病ではIII, IV分画の減少とV分画の増加が著明であつた.以上の結果を,先に報告した惡性腫瘍組織可溶性蛋白の特徴と対比するに,白血病では共にII, III分画比率は正常白血球のそれに近いか或いは減少を示し,かつV分画の増加が認められる点で異なる.

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