49 巻 (1960-1961) 7 号 p. 857-863
著者は先にA. N. T. U肺水腫は肺毛細血管透過性の亢進によつて発生し,この際肺リンパが大きな役割を演ずることを確かめたが,本編においてはA. N. T. U.肺水腫の際の肺リンパ動態並びに肺リンパ蛋白分劃につきイヌにおいて研究した. A. N. T. U. 20mg/kgをイヌに靜注し, 4時間にわたる右肺リンパ総管内のリンパ流量は, A. N. T. U.靜注30分後より増加し, 4時間後には前のそれの4~5倍となり,肺リンパ蛋白量はリンパ流量の増加に從い増量し,蛋白分劃ではAlbuminの増量が認められ, A/G比は増加する.血管透過性阻止剤併用例では肺リンパ流量,蛋白量,蛋白分劃には殆ど変化なくA. N. T. U.肺水腫を阻止した.各種自律神経遮断剤併用群ではA. N. T. U.單独靜注時と全く変化なく, A. N. T. U.肺水腫を阻止出来なかつた.以上肺リンパの面から見ても, A. N. T. U.肺水種は肺毛細血管の透過性の亢進によつてのみ生ずることを確かめた.