日本内科学会雑誌
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重症患者における呼吸,心臓停止の機序
第2報脈拍を中心とした重症期の病態生理学的分析
吉良 枝郎
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1960 年 49 巻 9 号 p. 1126-1135

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抄録

死の表現である心停止の機序解明の目的を持つて,重症期より死戦期をへて心停止に至る経過を脈拍について分析を試み,本報においては重症期について第1報で述べた基本的病態及び促進因子との関連のもとに檢討した.重症期の脈拍型は体温との関係より4型に分類出来た.頻脈を呈するものは82.1% (A, B, C型)で,内発熱を伴なうものは59.4% (A, C型)であつた.発熱及び頻脈を伴なうA型は各病態に高頻度に認め感染との相関を認めるが,骨髄障害群ではこの相関は低く,この病態に特徴的と考えられた.発熱なく頻脈のみみるB型は呼吸不全,代謝異常群に多く,その機序に興味がもたれ,末期に急速な体温及び脈拍の急上昇をみるC型は中樞障害群及び急性肝不全例に特徴的に認められ,その発生機序に関しては兩群の共通な病的機構より中樞の関與が考えられた.全く頻脈の出現を認めないD型は消耗群・腎不全例に多く認めた.なお脈拍型よりの予後判定はB, C型について司能で,とくにC型は全く予後不良の兆である.

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