日本内科学会雑誌
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肺空洞の病態生理に関する研究
Radioisotopeによる空洞壁の透過性の実証について
関 孝慈
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1961 年 50 巻 2 号 p. 142-153

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抄録

従来より著者の教室で行なつている肺空洞の病態生理学的究明の一環として,空洞壁の透過性を種々検討しているが,すでに,ガス体のそれについては実証報告した.著者はさらに液体および抗結核剤の透過性を究明すべく,イヌおよび家兎の山村実験空洞内に32P溶解の各種溶媒および14C標識の抗結核剤(PAS・Na-14C, INAH-14C)をそれぞれ経皮的に空洞内に直接穿刺注入し,その後,経時間的にそれらの血中濃度をGeiger-Müller-Counterあるいは2Π-Gas-Flow-Counterで測定する方法によつて,また一部は同様の処置を行なつた空洞のRadioautographyによる観察も行なつて,これから空洞壁の液体透過性の実相を明らかにしえた.さらに種々検討を加え,その結果,空洞壁よりの液体透過性は溶媒の滲透圧に逆比例し,空洞壁および周囲組織の諸性状と極めて密接に関連するが,空洞の所在部位による差異はほとんどなく, INAHはPASに比して,迅速かつ大きな透過性を有すること等を究明しえた.

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