日本内科学会雑誌
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Wegener肉芽腫の1例
森井 浩世長沢 俊彦三村 信英柴田 整一
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1961 年 50 巻 5 号 p. 406-413

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抄録

17才男子. 4年前より鼻閉があり, 9カ月前より鼻閉増強,鼻漏,鼻出血を生じ, 6カ月前下甲介試験切除により壊疽性鼻炎と診断され,東大耳鼻科に入院. Co60, Thio-TEPAによる治療を受け,一時鼻症状の改善を見たが,同科入院当初より蛋白尿,顕微鏡的血尿があり,入院中食欲不良,全身倦怠感,貧血,下腿浮腫,微熱,血沈促進,血清残余窒素の軽度上昇等を見るようになつた.退院後,輸血,利尿剤等により一時全身状態の改善を見たが, 1カ月前より諸症状が惡化, 2週間前より呼吸困難を生じ,急患として入院した.入院時,全身の高度浮腫,高血圧,眼底KW IV型,耳鼻科的に鼻粘膜萎縮,痂皮形成,肺野にラ音聽取,肝腫脹を認め,検査所見上,貧血,腎機能障害が著しく,ただちに治療をおこなつたが効なく,入院33時間後に死亡した.剖検により,鼻,副鼻腔,肺,脾等の肉芽腫,亞急性糸球体腎炎,結節性動脈周囲炎の像が見られ, Wegener肉芽腫の1例であることを確認しえた.

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