日本内科学会雑誌
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肝線維化にかんする生化学的研究
蒲地 大八
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1962 年 51 巻 3 号 p. 193-200

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抄録

近年結合織化学の進展とともに線維蛋白,ことにcollagenの代謝と線維間質のmucopolysaccharideとの関連が次第に解明され,線維形成にさいし.まずmucopolysaccharideが生成され,これをmatrixとしてcollagenが形成されていくことが明らかになつてきた.著者は黄変米カビ傷害マウス肝における肝線維化過程を生化学的に検討するため,傷害肝におけるglutamine g-6-p transamidase, hexsamine,及びhydroxyprolineを経時的に測定し,肝線維化にざいしてまずmucopolysaccharideの生合成が促進され,これを基盤として膠原綿維増生の過程を示す成績を得た.また肝線維化の過程に対する副腎皮質ホルモンの効果を観察するため,上記障害マウスに経口的にプレドニソロンの投与した,その結果は障害初期,特にhexosamine合成酵素活性が上昇する時期において最も著明な線維化抑制効果を示した。このことからプレドニソロンの作用機序の一つとしてhexosamine合成段階の抑制作用が推測される。

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