日本内科学会雑誌
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血清トランスミナーゼ活性値の変動にかんす研究
第1報肝炎及び肝硬変症の長期経過観察において
網岡 忠武田 和久氏平 一郎滝谷 泰博
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1962 年 51 巻 3 号 p. 220-226

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抄録

ビールス性肝炎,肝硬変患者の多数例につき,血清トランスアミナーゼ活性値(GOT, GPT)を長期に亘つて観察し,得られた変動型を臨床経過,肝組織像と比較検討した.その結果変動型を分け,変動を示さないもの,一峰性の上昇を示すもの,及び変動を繰返すものの3型に分類し,それぞれの型を活性値が正常に復するか否かによつて更に二分し得ることを確認した.急性肝炎例ではほとんどが一峰性の上昇を示すに止まったが,輪血後肝炎例においては再上昇を来たし,変動を繰返す例が比較的多く見られた.慢性肝炎例では,肝組織所見において肝実質細胞の変化を主とするもの及びグ鞘瘢痕のみを認める例は変動を示すものは極く僅かであつた.グ鞘の炎症を主とする慢性肝炎例には変動を示す例が多く,中でも新旧のグ鞘炎を合併した例はその変動を繰返す傾向が見られた.前硬変においては更に変動を繰返す例が多くなつたが,肝硬変ではむしろ変動を示す例が減少した.肝硬変で変動を示す例は活動性の肝組織所見を呈した.なお,治療剤としての副腎皮質ホルモン製剤のこれら変動型に対する影響を検討した結果,慢性肝炎,肝硬変の半数例においてステロイドホルモン使用後活性値の上昇が見られ,これらの上昇は,慢性肝炎では高度のグ鞘炎を示す例に,肝硬変では活動性炎症像が強い例に見られた.

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