日本内科学会雑誌
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興味ある経過をとり死亡せる原発性amyloidosisの1例
木村 登森 泉東 明亀尾 洋遠藤 泰三良永 光啓下川 泰
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1964 年 52 巻 11 号 p. 1365-1369

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抄録

58才の男にみられた原発性amyloidosisを剖検により確認したので報告する.本症例は呼吸困難および胸部絞扼感を主訴として来院し,その後約6カ月経過し胸水貯留を来たし入院した.栄養はやゝ不良,軽度の貪血あり,血圧は低く,左胸腔内に胸水の貯留を認めた.心音は微弱なるも純,呼吸音も微弱であったがラ音は聽取せず,浮腫なし.心電図は洞調律にて大した低電位差もなく, ST低下も認めず,Tの振れがやゝ悪かつた.血液化学的所見も異常なし.胸水あるため胸腔穿刺を3回行ない,細胞診により悪性度III度の細胞を認む.更に胃透視を行ない異常陰影を認め,悪性腫瘍による胸水と考え,その治療と共に心筋代謝の改善を行なうも,次第に浮腫,胸水増強すると共に全身衰弱高度となり,心不全にて死亡す.

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