日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
Goodpasture症候群の1例
木下 康民荻間 勇一之瀬 正彦浦野 力
著者情報
ジャーナル フリー

1964 年 52 巻 11 号 p. 1370-1375

詳細
抄録

31才の男で,約4年半前に原因不明の血痰を喀出し,以後,血痰が継続したが, 1年後にはきらに咳嗽も加わり,ついで呼吸困難も現われるようになつた.また2年前,急性腎炎に罹患し,当時,浮腫・蛋白尿・血圧亢進を示したが,約2週間で,これらの症状および所見は改の善された.しかし1年前より,しばしば発熱を繰返し,次第にチアノーゼが現われ,起坐呼吸を営むに至り,入院3日目に死亡した.入院時,血圧は120~85,蛋白尿(〓),沈渣に赤血球多数を認め,血清残余窒素および無機燐も増加を示し,腎炎の所見を呈した,剖検で,肺は硬度増強し,赤褐色を呈し,結合織が著明に増加,肺胞内に著明な出血を認めた.腎は割面に赤色調強く,皮質に血線を認め,糸球体に限局性の瘢痕化と,ボウマン嚢の一部に,線維性の肥厚がみられる特異な糸球体腎炎の像と考えられた.この他,著明な所見としては,膵に閉塞性動脈内膜炎を認めた.以上の臨床症状および病理組織学的所見は, Goodpasture症候群に根当するものと思われる.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top