1958年ZieveはMinneapolis Veterans Hospitalにおいて, 8年間に慢性アルコール中毒患者で肝生検にてアルコール性脂肪肝を証明した症例に, 1)黄疸, 2)脂血症, 3)溶血性貧血の共通な3症状を有する20例を観察し, jaundice-hyperlipemia-hemolytic anemia syndromeと報告している.本邦では1962年内藤らが2例を報告し,アルコール性脂肪肝の診断上,本症候群に対する注意を喚起している.われわれは慢性アルコール中毒患者に,浮腫,黄疸,肉眼的脂血症,過コレステロール血,貧血を認め,肝生検にて高度の脂肪肝を見出した.また治療により脂肪肝が改善されて行く過程を肝生検で観察しえた.その臨床経過より本症候群以外では説明しえず,若干の文献的考察を加えて報告した.