日本内科学会雑誌
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妊婦に発生し特異な経過をとつた肝の悪性血管内皮腫の1剖検例
勝 正孝長田 信藤森 一平山東 正和秋元 浩西山 保一
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1964 年 52 巻 12 号 p. 1502-1506

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抄録

妊娠8カ月の家婦に生じた肝腫か1カ月半で右下肋下8横指に達する腫瘤となつたので,これを穿刺したところ,粘液血性の穿刺液2lを排除し,下肋下で約1/2に縮小せしめ得た。穿刺の翌日,自然に分娩が起こつて,その新生児は順調に成長している.その後腫瘍は再び増大しつづけ,臍下3横指に達したが,黄疸は殆どなく,肝機能もほぼ正常に保たれ,アルカリフォスファターゼのみ14単位→18.2単位と上昇した.開腹して摘出を計つたが癒着甚しく切除不能であつた.剖検の結果,肝腫は右肺を上方に強く圧迫して第2肋骨の高さに達していた.腫瘍は右葉全域を占め,多房性で,ゼラチン様の物質と出血がところどころにみられ,正常と思われるのは左葉のみであつた.組織学的には血管内皮肉腫と考えられる.転移は認められなかつた.本例は腫瘍そのものが稀であるばかりでなく,その臨床経過も極めて多彩であつて,ほとんど類例がない.

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