日本内科学会雑誌
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Kallikrein-Trypsin-Inaktivatorにかんする研究急性膵障害についての実験的並びに臨床的研究
戸田 安士
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1963 年 52 巻 3 号 p. 179-192

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抄録

Kallikrein-inaktivator (KI)を用いて,生体内外におけるtrypsin活性阻害作用および膵炎に対する効果を実験的,臨床的に観察した.in vitroでtrypsin溶液にKIを加えると,活性の減弱がみられ,また,交叉ろ紙電気泳動で, KIとtrypsinとの干渉が認められることから, KIのtrypsinに対する作用はKI-trypsin-compoundの形成によるものであることを推定した.さらに, trypsin静注実験で, KI流血中でもtrypsin活性を阻害することを確認し,ついで,実験的膵炎犬にKIを使用して,血液amylase, catalase,血糖の変動,膵および肝の臓器脂質分画と,その組織学的所見をKI非使用群と比較検討して, KIによる膵障害の軽減効果を確認した.さらに臨床的にもこれを使用して,とくに急性膵炎に対して有意義であることを観察した.以上の諸成績から, KIは活性trypsinの阻害により,膵炎に対して,治療的効果を有するものと考えられる.

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