日本内科学会雑誌
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高血圧症における腎機能腎機能障害の型と総合的な腎機能表の作製について
木村 耕二
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1963 年 52 巻 3 号 p. 193-207

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抄録

高血圧患者の腎機能を総合的にみるために腎機能表を考え,腎血流量,腎血漿流量,糸球体濾過値,濾過率の値を排列して,観察した結果高血圧患者においては一連の腎機能障害の型があることをみた.そうしてその分類を試み,正常型, L型I, L型II, L型II A, L型III B,くの字型の6型に分類した.これらの型にしたがつて本態性高血圧,腎性高血圧をみれば,おのおの腎機能表に記載した諸検査成績及び血圧,血清総コレステロール値,ヘモグロビン量等と有意な相関関係をしめした.又治療による腎機能の変動を観察すれば,正常型, L型I, L型II, L型III Aを示す症例では改善例が多くみられたのに反し, L型III B,くの字型を示した症例では改善例はほとんどなく不変または惡化した。このように総合的に腎機能を観察し,一連の腎機能障害の型を考えることが高血圧症における病態,治療効果,予後をみる上にきわめて有意であることがわかつた.さらに心拍出量,全末梢血管抵抗を測定し,体循環と腎循環との関係をみた.

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