日本内科学会雑誌
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線維芽細胞抑制剤クロロキンによる悪性腫瘍の治療にかんする基礎的ならびに臨床的研究
木村 郁郎太田 善介浅野 健夫影山 浩渋谷 貢一小谷 秀成松浦 良三土田 潤一郎瀬崎 達雄平岡 敏延姫井 孟守谷 欣明森 俊雄山名 正俊
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1963 年 52 巻 3 号 p. 213-222

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抄録

惡性腫瘍の治療にかんして,直接癌細胞を対象とした従来の方法とは異なり,癌の間質成分を抑制することにより,二次的に癌実質を障害せしめんとする,全く独自の新しい理念に基づいて,線維芽細胞抑制剤であるクロロキンを用い基礎的臨床的研究を行なつた.その結果動物の移植腫瘍に対して諸種の面から抑制効果を認め,組織学的に壊死の増大と間質結合織の抑制像を認めた.ヒト癌においては多くの例に自覚症の改善を見,腫瘍の縮小を認めることもあり,また全身症状のかなり改善されることがしばしば見受けられた.本剤の作用機序については間質成分の抑制による二次的な実質の障害の他に,本剤の有する抗炎症作用,あるいは宿主に対する全身的な影響が考えられるところである.現在の段階では本療法は手術不能例あるいは手術前後にその適応が考えられる.なお間葉性腫瘍である惡性リンパ性腫瘍の治療に本剤を用い,目下腫大リンパ節あるいは脾腫の縮小傾向を認めている.

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