日本内科学会雑誌
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原発性肺高血圧症の1剖検例
岩崎 栄
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1963 年 52 巻 4 号 p. 330-335

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抄録

18才の女子にみられた原発性肺高血圧症の1剖検例について報告する.生前,臨床的には全く診断がつかず,剖検によりはじめて明らかになつたものである.症例の全経過は発病後1年半の短期間,自覚症として,どうき,息切れ,失神発作を訴え,さらにチアノーゼを加え,次第に自覚症増強し心不全のため死亡したものである.聴診上,肺動脈弁口に最強点を有する拡張期,収縮期雑音を聴取し,経過と共に心雑音の性状の変化を来たし,末期には各弁口で心雑音が聴取される等,興昧ある心音所見を呈した.胸部X線像上,右心室の拡大,短期間内での左第2弓の著明な突出像あり,心電図では著しい右室肥大の所見,心カテーテルで肺動脈圧の測定はしなかつたが,剖検により肺小働脈壁とくに内膜の著しい肥厚が広範に認められ,肺内動脈硬化症(原発性)と診断されたものである.

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