日本内科学会雑誌
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持続性insulinに対して過敏反応を呈するに至つた糖尿病の1例
谷内 昭藤本 忠和
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1963 年 52 巻 6 号 p. 664-670

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抄録

比較的高度の心・腎機能障害を伴なう重症糖尿病で特続性insulin (NPHおよびlente insulin)に対して過敏症状を呈するに至つた1例を経験した.一時期NPH insulinの使用を中止していたが,再度これを注射したところ,その直後より,めまい・顔面蒼白・冷汗・口唇および指趾のしびれ感・胸部絞扼感と共に悪心・嘔吐が現われ1~2時間で軽快した.この発作は翌日の再注射によつても同様に認められ,また後日lente insulinに対しても同様の反応を示した.本反応は臨床像の上から比較的稀な全身反応に属し,循環器系・消化器系症状がその主体となつている.能動的皮膚反応ではNPH insulinに対して最も強く, lente insulin, regular insulinがこれに次ぐ陽性反応を示し,本例血清中にヒトの皮膚に受動的転移可能な皮膚感作抗体と, insulin transporting antibody (131I-insulin)使用を証明し得た. なおinsulin allergy, insu1in抵抗性とinsulin抗体をめぐる諸問題に関して文献的に二, 三考察を加えた.

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