日本内科学会雑誌
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妊娠に合併した尿崩症の1例
荒木 定蔵関内 淳坂倉 武彦大西 正一角田 均長谷川 栄一
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1963 年 52 巻 9 号 p. 1102-1107

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抄録

間脳,下垂体後葉系の機能不全による抗利尿ホルモンの分泌低下は通常尿崩症状を呈するが,下垂体前葉に機能障害があれば,尿崩症症状は発現しなくなるといわれている。われわれは最近下垂体前葉機能と,本症症状発現との間に密接な関係を有すると思われる1症例経験した.すなわち妊前下垂体前葉機能低下が認められていた33才の婦人が,妊娠により尿崩症症状を発現し,妊娠の進むにつれて該症状はますます著明となつたが,分娩後は速かに軽快した。本症例は妊娠前下垂体後葉障害があつても,前葉機能の低下が本症状発現を抑制していたが,妊娠により下垂体前葉ならびに副腎皮質機能が亢進したことにより本症状が著明になつたものと考えられる.なお本例ではchlorothiazideの投与が臨床症状の改善に役立ったが,本例の如き妊娠後期で後葉製剤の使用し難い時には,本薬は有用な薬剤と考える。

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