日本内科学会雑誌
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著明な貧血と低蛋白血症を伴ない剖検上著しい赤血球貪食を認めた細網内皮症の1例
長谷川 弥人高橋 隆一鳥飼 勝隆
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1964 年 53 巻 2 号 p. 182-187

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抄録

Histiocytic medullary reticu1osisは発熱,貧血,白血球減少,栓球減少,肝脾腫など臨床的にもかなり定型的な症状を現わし,組織学的にも著明な赤血球貪食を伴なった網内系細胞の増殖がみられる点で特異な存在にある.しかるに本症はScott, Robb-Smithの報告以来48例が報告されているに過ぎず,しかも剖検によつて初めて診断される場合がほとんどである.本邦においては,われわれが検索しえた限りでは文献上未だその報告をみない.今回われわれは60才の女で著明な貧血と全身浮腫を主訴として入院,諸検査により全血球減少症,低蛋白,低コレステロール血症を認め,発症後約10カ月で死亡したが,剖検によつて顕著な赤血球貪食を伴なつた網内系細胞のびまん性増殖が明らかとなり, histiocytic medullary reticulosisと推定される1例を経験した.

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