日本内科学会雑誌
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蛋白同化ステロイドの脂質代謝に及ぼす影響
宮野 敬
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1964 年 53 巻 9 号 p. 1133-1139

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抄録

近来,蛋白同化ステロイドが,血清脂質の低下を起こすことが認められるようになつた.著者はethylnandrolを使用して,人体で高脂血症に対する影響を調べるとともに,動物実験で臓器脂質に対する影響を調べ, 14C-acetateおよび14C-cholestero1の代謝より.その作用機作の一端を知ろうと試みた.血清脂質低下作用はきわめて強く,しかも。低下の程度は燐脂質<コレステロール<中性脂肪の順で強く,質的にも平均sfの低下を推測させる. ethylnandrol投与正常ラットの臓器脂質は増加を示し. 14C-acetateのコレステロールへの取り込みは,肝・血清で著明な低下を起こし,一方,脂肪酸への取り込みは,肝・腎で上昇を示した.また,呼気炭酸ガスへの排出はethy1nandrolにより変化を示さない.14C-cholesterolの腸管への排出は, ethylnandrolにより変化を示さない.以上により, ethplnandrolはコレステロール合成を阻止し,脂肪酸合成を促進し,コレステロールの異化には変化を及ぼさないと結論した.

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