日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
Potassium induced, sodium responsive periodic paralysisの一家系
中尾 喜久鎮目 和夫紫芝 良昌佐久間 真樹矢野 雄三
著者情報
ジャーナル フリー

1964 年 53 巻 9 号 p. 1185-1193

詳細
抄録

KClで誘発され, NaCl静注が著効を奏する周期性四肢麻痺の一家系2名について報告する,第1例は41才,主婦.第2例は17才,男で,第1例の第1子である.両例とも3才から周期性四肢麻痺発作があり,日中,しばしぱ短時間の麻痺発作をくり返すこともあり, 2~3カ月に1度, 2~3日持続する麻痺発作を起こすこともある.麻痺は日中でも,夜間でも起こることがあり,運動後の休息,寒冷が誘因となることが多いが,過食,甘味品多食は誘因にならない.第1例には発作中,口囲,指趾先端のしびれ感があるが,第2例にはこれを欠く.両例とも自然発作中,血清Kの上昇,低下なく,KCl服用によつて麻痺が起こり, 10%NaC1静注によつて速やかに緩解する.第1例はGamstorpらの報告したadynamia episodica hereditariaに類似するが, NaCl静注が著効を奏する点がこれと異なり,第2例は,麻痺中Naの排泄増加あり, Poskanzerらの報告したnormoka-lemic sodium responsive periodic paralysisに類似するが, KCl投与によつて血清Kの上昇をみる点がこれと異なる.両例における電解質代謝異常について述べ,麻痺の機序についで考察した.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top