日本内科学会雑誌
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慢性insulin抵抗性糖尿病の1例
村上 元孝横山 鉄夫竹田 亮祐宮保 進日置 長夫竹越 襄
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1965 年 54 巻 1 号 p. 59-64

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抄録

31才,男.やせ型.糖尿病の遺伝なし. 25才糖尿発見以来斷続的にインスリン治療を受けた.初め12単位でコントロールできたが,次第に必要量が増加した.インスリンアレルギーの既往なし.理学的所見正常.空腹時血糖174~328mg/d1,尿糖1日約400g.正規インスリン100単位静注で血糖降下ほとんどなし. NPHインスリン300単位で治療効果なく,ステロイドを追加した所,インスリンに反応するようになり,現在レンテ・インスリン80単位とn-butyl biguanide 150mgで尿糖1日5g位に抑えられている. agar gel electrophoresis等で著明なインスリン結合抗体が証明されたこと,患者血清がマウスでインスリンの血糖降下作用を抑制したこと,感染,酸性症,他の内分泌疾患がなくて300単位・インスリンでコントロールできず,ステロイドによりインスリン抗体価の減少とともにインスリンに反応するようになつたこと等から,慢性インスリン抵抗性の糖尿病と考えられる.

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