1966 年 54 巻 10 号 p. 1162-1164
前報で報告したガスクロマトグラフィーによるアミノ酸の微量分析法を負荷実験に応用した. l-phenylalanineを静注または経口的に投与し,種々の時間の後に採血を行なつた.血漿中遊離アミノ酸はDNP誘導体としてガスクロマトグラフィーで分析し,その経時変化を観察した.カラムはQF-1を用い,内部標準としてcholestaneを加えた.静注の場合には注射直後に急激に増加した血中phenylalanine濃度は直ちに減少をはじめ, 10~20分後には比較的なだらかな減少カーブになる.経口投与では1~2時間でピークに達し, 3時間で減少しはじめ, 4時間で投与前よりやゝ高い値まで減ずる.本報告にみられるごとく,ガスクロマトグラフィーによるアミノ酸の定量の利点は少量の血液で迅速に測定できることであり,アミノ酸代謝の研究に大いに役立つ方法と考えられる.一方,欠点は定量できるアミノ酸の種類が限定されていることであり,これについてはさらに研究が必要である.