日本内科学会雑誌
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ビリルビン銅複合体によるビリルビンの新定量法とその臨床的研究(第II報)
中川 英雄
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1966 年 54 巻 10 号 p. 1175-1187

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抄録

黄疸時の尿中ビリルビンの臨床的所見は血清ビリルビン値とともにその意義は大きい.しかし尿中のビリルビンを正確に定量することはかなり困難なことで,臨床的には定性的または半定量的な方法でこの量が検討されて来たに過ぎない.著者は尿中のビリルビンを簡易,迅速かつ正確に定量しうる新定量法を考案し,この方法で黄疸患者の早朝空腹時における尿中ビリルビンの定量を試み,また諸種黄疸例の各経過中における尿中ビリルビン量を連日定量的に観察し,黄疸と尿中ビリルビン量との臨床的相関を検討した.その成績から, 1)血清ビリルビン値と尿中ビリルビン量とには正の相関性が認められ, 2)閉塞性黄疸時の尿中ビリルビン量は肝細胞性黄疸時のその量に比しはるかに多く, 3)早朝空腹時1時間の尿中に排泄されるビリルビン量を連日定量的に観察すると,黄疸の性質と経過が詳細に追求でき, 4)黄疸時のビリルビン腎クリアランスは閉塞性,肝細胞性,溶血性の各黄疸間に有意の差がみられ, 5)溶血性黄疸例の尿中ビリルビン量は常に健常者の量と同じであること等の臨床的意義を認めた.

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