日本内科学会雑誌
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Drug diabetesにかんする研究(第5報)
Potassium deficiency diabetesについて
石上 隆一塩谷 茂吉田 著河田 利延名取 弘道秋山 喜昭川合 日出夫大本 潤子岡田 博行門田 一郎西村 与一郎
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1965 年 54 巻 8 号 p. 932-939

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抄録

低カリウム症と糖代謝異常との関係は不明であるので研究を行なつた.低カリウム症患者の統計で糖代謝異常を伴なう低カリウム症は副腎皮質ホルモン薬,サイアザイド薬を投与した患者が大多数であつた.ステロイド糖尿患者では本薬の投与による血清Kの減少度と糖代謝異常出現と関係が少なく,本糖尿にK薬を併用しても糖代謝異常が改善しないことより,本糖尿の発生機転として低カリウム症は重要な因子と考えられない.しかしサイアザイド糖尿患者では本薬の投与による血清Kの減少度と糖代謝異常出現とは関係があり,本糖尿にK薬を併用すると血清Kと糖代謝異常も改善し,低カリウム作用の少ないfurosemideでは糖代謝異常出現が少なく,動物にtrichlormethiazideの投与,陽イオン交換樹脂の使用等で低カリウムの出現とともに糖代謝異常出現があつたこと等より,本糖尿の発生機転として低カリウム症が要因と考えられ,本糖尿はいわゆるpotassium deficiency diabetesに類似するものと考える.

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