日本内科学会雑誌
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ネフロトキシン腎障害によるアロキサン糖尿ラットの血糖低下について
肝内酵素活性による糖代謝の研究
松田 文子
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1966 年 55 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

アロキサン糖尿病ネズミにネフロトキシンによる腎障害を加えて, 血糖値, 糖同化能の変動を観察し, 腎障害により血糖値の低下すること, および, 糖同化能は改善しないことを知つた. 同時に, 肝内の糖代謝に関与する酵素 (HK, G6Pase, PFK. FDPase, PGI, PGM, FDP-ALD, G6PDH, 6PGDH, GAPDH, αGPDH, LDH) 活性を測定して, 腎障害合併時のアロキサン糖尿ネズミの肝の糖代謝について検討した. その結果, かゝる状態では, 血糖調節の面では, 糖尿病でみられるのとは逆に, ブドウ糖の放出能の低下, 糖新生の抑制がみられる一方, 嫌気的解糖経路および五炭糖燐酸回路の活性は, 糖尿病と等しく低下しており, 肝の面のみより考察すると, 血糖値の低下はみられても, 糖代謝の改善はみられず, みかけ上の血糖低下に過ぎないことを説明することが出来た.

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