日本内科学会雑誌
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全内臓逆位症に合併したEbstein病の1例
松岡 松三河辺 明彦坂上 種男青木 洋二田村 康二今井 哲也菊田 亮司大山 芳郎江口 晃真島 正小黒 忠太郎
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1966 年 55 巻 1 号 p. 36-39

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抄録

全内臓逆位症に先天性心疾患が合併することは非常にまれといわれている. われわれはEbstein病に全内臓逆位症を合併した症例を経験した. 15才の男子で, チアノーゼ強く, やもり指を認めた. 赤血球増多症のほか生化学的検査などはすべて正常. 胸部X線像は, 定型的右心症陰影. 心電図はP波の増高, および著明な右室肥大所見があつた. 経静脈心血管造影で右室遠位部および肺動脈の造影遅延, 大動脈の早期造影の所見がみられた. 心腔内心電図併用心カテーテルで右房化した近位部右心室が証明されEbstein病と診断された. なお, 大動脈の早期造影は心房中隔欠損のためであつた. Ebstein病は心電図で普通, 右室肥大の所見は示さない. また心内圧は正常または低いのが普通であるが, 本症は右心室圧が高く肺動脈圧が低い, 血行動態上, 肺動脈狭窄の所見を呈していた. これらにつき若干の文献的考察を加えて報告する.

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