日本内科学会雑誌
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原爆被爆者の細胞遺伝学的研究
井石 哲哉
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1966 年 55 巻 2 号 p. 76-83

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抄録

最近放射線による染色体異常が多数報告されているが, 被爆後20年を経過した原爆被爆生存者についての検討はまだ充分とはいえない. 著者はこれら被爆者になお原爆放射線の影響が残存しているかどうかを確かめ, 晩発障害として注目されている白血病の発生機序を解明する一手段として, 25例の被爆者につき末梢白血球培養法による染色体分析を行なつた. その結果を要約すれば被爆者群は正常群に比しaneuploid cells, polyploid cells, fragmentsの増加や, 正常人にみられなかつたdicentrics, rings, abnormal monocentric chromosomes等, chromosome-type aberrationsの出現が認められた. また被爆者群中被爆当時急性放射線症状のあつた群の方が, なかつた群より異常染色体の出現頻度が高かつた. 以上の成績は原爆放射線による染色体異常が長期にわたり存続する可能性と, その異常の頻度が被爆線量の多少に関係することを示すものであつて, かゝる観点から白血病発生に対する意義等につき種々考察を加えた.

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