卵巣腫瘍に胸水と腹水を合併し, 腫瘍除去後速やかに胸水腹水の消退する特異な症候群について, 1937年Meigsが詳細な報告を行ない, それ以来, 欧米において数多くの症例が報告されている. しかしわが国における報告は欧米に比し少ない. われわれは最近卵巣腫瘍に胸水腹水を合併したMeigss' syndromeの1例を経験したので報告する. 56才, 主婦. 主訴は腹部膨隆, 胸痛, および心窩部痛, 入院後諸種検査の結果胸水および腹水を認め, 腹腔鏡検査にて両側に卵巣腫瘍を認めた. 組織学的にはpapillary adenocarcinomaであつた. 手術後経過良好で, 術前に貯留していた胸水および腹水は完全に消失した. 以上の如きMeigs症候群の特異な症状および本症候群について若干の考察を述べ, 鑑別診断, 治療について付記する.