日本内科学会雑誌
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Garcin症候群を呈したcraniopharyngiomaの1例
福田 守道松田 幹人
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1966 年 55 巻 8 号 p. 881-885

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抄録

症例は31才の男性で,2年5カ月前より頚部リンパ節腫脹を訴え,リンパ節生検により扁平上皮癌と診断され, X線深部照射により一時リンパ節縮小をみたが,以後リンパ節腫脹再発,貧血,発熱,左顔面に疼痛が出現した.次第に外転神経麻痺を初めとする他の左側脳神経麻痺症状を現わし,入院第150日ごろには第1,第2脳神経を除き,左側脳神経麻痺症状が認められ,脳自体の障害症状および脳圧亢進症状を欠くことからGarcin症候群と診断された.末期には結節状の肝を触知し,貧血増強,やせ著明となり死亡した.剖検の結果,脳底部で,錐体骨内側に沿つて硬膜外に灰白色の腫瘍浸潤があり,脳神経の出入する各孔におよんでいた.下垂体自体には腫瘍を認めず,組織学的にところどころ特有のadamantinoma様性状を示す扁平上皮癌であり,臨床症状とあわせ, craniopharyngiomaと診断された.

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