日本内科学会雑誌
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アルドラーゼアイソザイムについての臨床的研究とくに癌および肝疾患を中心に
矢島 久紀
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1967 年 56 巻 1 号 p. 37-48

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抄録

アルドラーゼ(ALD)のアイソザイムを電気泳動法,イオン交換クロマトグラフィー,fructo-se-1, 6-diphosphate (FDP)およびfructose-1-phosphate (FIP)両基質を使用しての同時測定の結果より臓器,血清などについて検索した,電気泳動法による家兎,ラットでは臓器間に易動度の差を認めたが,ヒトではかかる差は認められなかつた. DEAE-sephadexカラムクロマトグラフィーでは,ヒト肝と心の間に相違が認められ,癌組織は心に類似のパターンを示した.急性肝炎,心筋硬塞,癌患者血清のバッチ法による分画でも,それぞれ組織のそれに対応するパターンを捉ええた.また諸臓器酵素液のFDP-ALD, FIP-ALD活性およびその比はそれぞれ異なり,かつ癌では発生母地に関係なく骨格筋のそれに類似していた.諸種疾患患者血清もその罹患臓器に相当した特微ある活性比を示し,とくに癌ならびに肝疾患では従来のFDPのみを基質とした測定法よりその診断精度を著しく向上せしめうることを確かめた.

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