日本内科学会雑誌
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最近経験した18才のlevocardiaの1例
萩原 忠文田辺 潤一内山 照雄勝呂 長堀江 孝至
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1967 年 56 巻 12 号 p. 1513-1518

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抄録

「Levocardiaは内臓諸器官が鏡像的逆位を示しているにもかかわらず,心臓か左胸郭内の正常位置にあって,しかも心尖が左側を向いている状態」と定義され,かつきわめてまれな疾患の一つである。近年,心臓外科の発展と臨床例の増加とにともなつて,種々の検討が加えられてきた. Keithらによれば, levocardiaは先天性心疾患の約1%にみられ,そのうち,心内構造の正常なものは10%以下にすぎない一般に,複雑な心奇形をともなうため,予後は不良で, 5才以上の生存例はわずかにすぎず,かつその確定診断は剖検によつてのみ可能とされている.最近われわれは,生直後より心疾患を指摘され,今回チアノーゼおよび息切れを主訴として入院し,種々の検索で心房逆位をともなつたlevocardiaで,かつ修正大血管転位,心房中隔欠損,心室中隔欠損および肺動脈狭窄などの合併を有するごくまれな18才の本症例を経験した.

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