日本内科学会雑誌
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肺および胸管リンパ循環の調節機構にかんする研究
北村 論
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1967 年 56 巻 3 号 p. 229-240

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抄録

肺リンパ系は種々の肺疾患の成因,治癒機転等に直接間接に関与する極めて重要な一つのシステムであるが,その循環動態を系統的に検索した報告は必ずしも多くない.著者はイヌの左右の静脈角部位で胸管および肺リンパ流量を測定し,両リンパ系の循環動態に影響する種々の要因について検索し,その調節機構の解明を試みた.すなわち,胸管の圧流量曲線、それに及ぼす薬物自律神経系の影響,および横隔膜運動,肺の呼吸運動,頚静脈の循環動態等の両リンパ循環に及ぼす影響について検討し,リンパ循環の調節機構にリンパ管自身のtonusの関与は少ないこと,また両リンパ循環ともに頚静脈圧および呼吸運動によつて調節され,正常犬においては肺リンパ系は,吸気時における頚静脈圧下降と呼気時における肺の絞り出し効果が,また胸管では吸気時における頚静脈圧下降と呼気時における横隔膜の収縮がそれぞれ位相を異にしてリンパの流出に促進的に働いていると推論した.

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