日本内科学会雑誌
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全身性エワテマトーデスにおける抗DNA抗体の研究
富永 教洋
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1968 年 57 巻 3 号 p. 325-335

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抄録

結合織疾患,とくにSLEの抗DNA抗体の臨床的意義を究明する目的で,間接蛍光抗体法によるDNAスポットテストを中心に抗核因子を検索した.抗DNA抗体検出試験はSLEに感度,特異性ともにすぐれていたが,抗核抗体はSLE以外の結合織疾患でもしばしば陽性であつた.抗DNA抗体価は活動性SLEとくに活動性ループス腎炎に高値を示し,臨床的活動性と平行したが,長期観察例で陰性となつた例は少なかつた.またステロイド投与で低下,臨床症状の再燃に先行して上昇し,ステロイドの維持量,投与中止時期判定にも役立つ.さらに経過中腎症状出現時にはそれ以前の値よりさらに高値を示していた.以上より本抗体の腎症発症への役割りを考察し,ヒドラジノフタラジン投与例のDNA抗体価の動きからSLEの発症機序についての意義も考案した.

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