日本内科学会雑誌
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人胆汁中のインスリンについて
奥原 種臣
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1970 年 59 巻 12 号 p. 1310-1317

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抄録

ヒト胆汁中におけるインスリンの存在を証明し,また,糖尿病および肝胆道系疾患における胆汁内インスリンの量的変化を調べるために,正常人および上記疾患患者に十二指腸ゾンデ法を行ない, A, B, C胆汁を採取し,透析後その中に含まれるインスリンを免疫学的測定法(二重抗体法)にて測定した.その結果正常人のA, B, C胆汁はインスリンを含有し,その平均濃度はいずれも血清インスリンの10倍以上で,かつ, A, B, C胆汁の間に有意の差がないこと,ならびに糖尿病,肝硬変症および胆嚢症の患者のA, B, C胆汁もインスリンを含有し,その濃度は正常人のA, B, C胆汁との間に有意の差がないことが判明した.以上の成績から胆汁中のインスリンのかなり大きな部分は胆嚢壁から再吸収される可能性があり,胆道は過剰または不要となつたインスリンの排泄経路の一つであると考えられる.

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