日本内科学会雑誌
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肝内Na貯留物質に関する研究とくにaldosteroneとの異同について
松井 比呂美
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1970 年 59 巻 12 号 p. 1318-1326

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抄録

肝硬変などにみられる電解質代謝異常にaldosteroneが重要な役割を果していることはいうまでもないが,それめみでは解釈しがたい多くの現象が知られている. 1967年以来前沢らは肝内にNa排泄抑制物質の存在を証明しその解析を行なつているが,著者は本物質がaldosteroneとはみなしがたい成績をえたので,これらについて報告したい.すなわち, (1)本物質はラットのNa排泄を抑制し,この効果は投与量と有意の直線関係を示したがK排泄には有意の影響を与えなかつた. (2)両側副腎摘出8日後のラットの肝エキスについても偽手術ラット肝におけると同様なNa排泄抑制効果が認められた. (3)肝単位重量当りのNa排泄抑制効果は化学的に定量された肝内aldosterone量の約800倍に匹敵した. (4)副腎摘出7日後のラット肝ホモジェネートをアセトン処理したところアセトン不溶性分画にのみ有意のNa排泄抑制効果がみられた.なお0.25M蔗糖液を用いた分画遠心(Schneider法)により本物質が8500×G, 10分遠心上清中に存在することが示された.

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