日本内科学会雑誌
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中鎖脂肪の血糖降下作用とインスリン分泌作用について
井出 肇
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1971 年 60 巻 2 号 p. 115-124

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抄録

中鎖脂肪(MCT)をヒトに経口投与すると,直ちに中鎖脂肪酸(MCF)の形で吸収される. MCTの吸収とその代謝にかんする研究は多いが,吸収されたMCFが他の代謝系に与える影響は,よく知られていない著者は, MCTをヒトに経口投与して,インスリンの分泌と血糖降下および遊離脂肪酸(FFA)の減少が起こることを認めた. MCTを投与した後, ketosisのある状態で,経静脈的にブドウ糖を負荷すると,糖忍容の改善がみられ,アロキサン糖尿家兎でも同様の所見がえられた.また,ラット膵切片を用いたin vitroの実験で, MCF (octanoate)が,膵β細胞を直接刺激して,インスリンを分泌する事実を認め,MCFの代謝産物であるβ-hydroxy-butyrateやacetateもまたインスリンの分泌作用のあることを証明した.すなわち,MCT投与によるインスリンの分泌はMCF,ケトン体およびacetateが関与して生ずると解釈され,その結果,血糖降下, FFAの減少が起こるものと考えられた.

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