日本内科学会雑誌
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慢性肺気腫患者における免疫グロブリンとαl-antitrypsinについて
久保 文孝
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1971 年 60 巻 7 号 p. 624-631

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抄録

慢性肺気腫の病因および病態と免疫グロブリンとα1-antitrypsinの関連を追求し,併せて抗心抗体を検出し,これらと心肺機能検査成績とを比較検討した.肺気腫患者の上記血清蛋白の平均値は,正常値に比して, IgA濃度は明らかに増加し, IgGはわずかに増加しており, IgMとα1-antitrypsinはほぼ正常値を示したが, α1-antitrypsinはintermediate levelを示した症例がみられた.なおIgAは1秒率, %MBC, PaO2, SaO2, PAmなどの心肺機能検査成績との間に有意の相関がみられ,経過をみた症例では肺機能の改善とともに, IgA濃度の低下がみられ,IgAの変化は気管支肺病変を反映しているように思われる,これに対しlgGは心肺機能検査成績と相関はなかつたが,肺機能障害の顕著な肺高血圧症例で抗心抗体が陽性のものに高値を示す傾向がみられ, IgG濃度の上昇には自己免疫的な機転の関与が推定された.

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