日本内科学会雑誌
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Heavy-chain病の肝生検組織所見その光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡的観察について
山田 剛太郎小林 敏成幡 慶一辻 孝夫太田 康幸小坂 淳夫
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1971 年 60 巻 8 号 p. 727-734

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抄録

本邦初例のheavy-chain病症例の腹腔鏡下肝生検により得た肝組織について光学顕微鏡的,電子顕微鏡的に観察検討した.光学顕微鏡的には,Glissoa鞘にンパ球,形質細胞と考えられる細胞等の軽度の浸潤が認められるにすぎなかつた.電子顕微鏡的観察では,肝実質細胞は,粗面小胞体が比較的少なく,しかも,核の近くに限局して存在し,一方,グリコーゲン顆粒が多く認められた.Glisson鞘に浸潤している形質細胞と考えられた細胞は,よく発達したGolgi野と,層状配列を示す粗面小胞体を有し,典型的な形質細胞として観察されたが,その粗面小胞体に付着しているpolysomeを構成しているribosomeを数え,その分布より,これらのpolysomeで合成されている蛋白質の分子量を算定すると25,000~30,000前後となり,本例のheavy-chain病蛋白の沈降係数3.7と合わせ考えて,肝内に浸潤しているかかる細胞は,heavy-chain病蛋白を合成している細胞と断定した.

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