日本内科学会雑誌
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ジギタリスおよび各種抗不整脈薬の作用機序にかんする実験的研究
とくに中枢神経系の関与について
小林 健二
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1972 年 61 巻 2 号 p. 142-157

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抄録

ジギタリスおよび各種抗不整脈薬(プロカインアミド,アジマリン,プロプラノロール,ジフェニルヒダントイン)の中枢神経系を介しての作用機序を検討する目的で,家兎を用いて実験をした.これら薬物を耳静脈より投与し,脳波と心電図とを同時記録しながら,その経時的変化を追求した.対照群に上記薬物を投与すると,脳波に鋭波,速波などの発生と同期して心電図にはQRS延長, A-Vブロック,各種不整脈が比較的早期に出現した.あらかじめ脳幹抑制薬としてのフェノバルビタールを投与した群や視床下部を除去した群では上記の心電図変化がきわめて遅れて出現した.一方視床下部以外の脳を除去した群では,逆に心電図変化が促進して発生する傾向を示した.以上よりジギタリスおよび各種抗不整脈薬の作用機序は,直接心臓に作用するのみではなく,脳とくに視床下部を介しての経路が存在すると推定された.

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