1972 年 61 巻 2 号 p. 164-171
全身性紅斑性狼瘡における抗核抗体(ANF)の染色パターンにかんして,蛍光抗体法,酵素抗体法を用いて比較検討を行ない,併せて酵素の標識法についても検討を加えた.その結果,酵素抗体法によるANFの染色パターンは蛍光抗体法のそれと一致せず,相互に一定の関連性を有しなかつた.新たに酵素抗体法による染色パターンを以下の五つのタイプに分類を試みた. 1) diffuse type, 2) perinuclear type, 3) flecked type, 4) fine granular type, 5) thready type.これら染色パターンの由来を抗体側以外に核の側からの考察が必要と思われる.また,酵素抗体法では患者血清希釈によるパターンの変化や,固定条件の差による影響はなかつた.酵素の標識には精製抗体にglutaraldehydeを用いるのが,標識液の収量,感度,保存性で優れているが,蛍光抗体法の方が感度,保存性で酵素抗体法に比して,はるかに優れていた.