日本内科学会雑誌
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諸種内科疾患におけるα1-antitrypsin値について
とくに肺疾患を中心として
山田 邦子堀越 公子伊藤 洋子中沢 次夫小林 節雄
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1972 年 61 巻 3 号 p. 245-250

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抄録

血清α1-antitrypsin (α1-AT) が, 閉塞性肺疾患, とくに肺気腫に関与している事が最近注目されている. 先にわれわれは, 野見山らと共に, ゲラチン消化法を用いて本値の測定を行ない, 日本人におけるα1-AT欠乏症の存在は非常に低率である事, 閉塞性肺疾患患者と正常人との間に, 本値の有意の差はみられなかつた事を報告した. その際, 気管支喘息症の11%に比較的高値を示すもののある事をみ出し, この問題を再検討するとともに, 他の二, 三の肺疾患を主とした内科的疾患について, 本値の変動を免疫拡散板を用い定量的測定を試みた. その結果, 気管支喘息では本値のバラツキが多く, 採血時有症状者は低値を示す傾向がみられ, これは慢性気管支炎と対照的であつた. 肺気腫では, 若年者に低値の傾向がみられた. 肺の非特異的炎症では一般に高値をみたが, 肺結核症では一定の傾向はみられにかつた. 全例中, hetero-deficiencyと思われる例は1%にみられた.

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