日本内科学会雑誌
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白血病細胞の比重にかんする研究
特に骨髄と末梢血細胞の比較について
山田 欽清水 進土屋 喬当摩 正美沢 泰彦蓮村 幸兌秋山 雄一
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1972 年 61 巻 4 号 p. 355-365

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抄録

目的:多層式重層遠心分離法を行ない骨髄性白血病の末梢血と骨髄における細胞の関連性と由来を細胞比重の面より追求した.対象: acute myeloid leucemia (AML) 9例, monocytic leucemia (ML) 2例, chronic myeloid leucemia (CML) 9例につきその末梢血と骨髄の細胞分布比重の範囲,各比重層を構成する細胞の種類を比較検討した.成績:一般に比重が軽い程幼若な細胞であつた. AMLでは末梢血に細胞の存在しない軽比重層でも骨髄に白血病細胞が認められた. CMLの末梢血の細胞比重は,悪化に従い軽くなり,軽比重層に幼若細胞の出現をみた.この細胞は骨髄には存在しない.また化学染色態度が骨髄芽球と酷似する分葉核球を悪化時の末梢血に認めた. 3H-thymidineの成績も比重別に異なるだけでなくAMLは骨髄に高く, CMLの悪化時は末梢血に高値であつた.断案:急性型と慢性型は骨髄と末梢で骨髄芽球の比重が逆の関係にあり, 3H-thymidineの成績も同様に逆の関係で,両者の分裂能は部位および比重によつて相異があるものと考えられる.

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